年内最後の拡張はパワーカードが多い傾向にありますが、今回の「ダークムーン・フェアへの招待状」もやっぱりパワーカード尽くしでした。今までの闘技場とはまた異なるゲーム性になりそうで楽しみです。
いつものように闘技場環境を考察していきましょう。新メカニズムを踏まえたドラフトアドバイスと、注目のヒーローについて書いていきます。
新メカニズム「変妖」
手札にあるときに、そのカードよりコストが高いカードを使うと強化を受ける能力です。上のカードであれば、6コスト以上を使えば効果発動となり、なんと5マナで8/8急襲というパワーカードになります。
この能力を持つカードがとっても強く、新環境の闘技場では変妖をうまく発動できるようなデッキを組むことがとても大事になってきます。
環境予想と強いデッキの組み方
とにかく「変妖」を狙う
主要な「変妖」カードは3~5マナ帯に集中しています。いずれもうまく発動できれば試合を大きく動かす力を持っており、ぜひ変妖で使いたいです。そのために、コストが上のカード、特に4-6コストのカード(各ヒーローの変妖カードのコストによります)を集めておきましょう。
特に、5コストの変妖には6コスト以上のカードが必要になりますが、普通にデッキを組んでいくとこれらの枚数はさほど多くありません。
ただ、5コスト以上の変妖は発動させにくい分特に強力なカードが多いため、これらが取れた時は6コスト以上のカードをかき集めていきたいところです。
次の環境で優秀な6コスト以上の一例を紹介します。
注目の新カードです! 即効性があり、6点ダメージ+ドローだけでもそこそこなのに、さらに+3/+3までついてくるコストパフォーマンスの高いカードです。おまけに5コスト以下の変妖が発動でき、しかも取りやすいコモン。大活躍が期待されます。
また、既存カードで優秀なのが左の2枚で、新環境では変妖の発動にも適しているので更に優先度を上げていきたいところです。右の「コロッサス」もいいカードなのですが10ターン目に変妖を発動させても使えるのは11ターン目以降なので、変妖発動用にはちょっと適さないかな、という感じです。(それでも単体で強いので取ることはありそうです)
いくら強い変妖があるといえども、こういう弱いカードを取るほどではないかと思います。変妖が強くても前座が足を引っ張っては意味がありません。
なお、「怪力男」は発動できた時の強さはピカイチですが、発動に8マナ以上が必要であり、安定しての発動が狙いにくいのでさほど強くないかと思います。
トリガーとなるカードが集まればいいのですが、8マナ以上の中立では「疫病始祖ドレイク」くらいしか強くないので積極的に狙うほどではないでしょう。重いカードが強いプリーストなどはチャンスがあるかもしれません。
マナカーブ
「重いカードを多く取ると、他のカードの枠がなくなるんじゃないか?」と思われるでしょう。問題はどこの枠を削るかです。
クラスにもよりますが、2マナミニオンの枚数を2-3枚程度に抑えることが考えられます。3マナまで削るとさすがに序盤の出遅れが深刻になり安定しなくなってしまうのでお勧めしません。(※)
- ※デーモンハンター、ハンターなどアグレッシブなクラスでは、いつも通り2,3,4マナを充実させて押し切るのがいいと思います。パラディンやローグも攻撃的なプランを取ることがありますが、これらのクラスは2ターン目にヒーローパワーを打つことにして、2マナを削ることもできます。
低コスト帯のミニオンを薄くした場合、序盤出遅れることがよくあります。しかし、変妖を発動した各種カードには、出遅れたテンポを取り戻すほどのパワーがあるため問題ありません。加えてこの環境は急襲、挑発、全体除去など相手の攻めをいなす手段が揃っています。
(防御手段の例:新カード)
(特に、下2枚の全体除去の存在は覚えておきましょう)
既存カードもいい防御手段が揃っています。
(防御手段の例:既存カード)
(彼らは5-6マナです。この環境では”変妖”のトリガーとしても優秀です)
デッキの方向性についてはドラフトに出てきたカードで柔軟に判断することが大事ですが、原則としては「序盤のカードは多少減らし、挑発や除去(急襲含む)でごまかしつつ、変妖のパワーで返す。」というのがこの環境の勝ち筋に見えます。
代替プランとして、軽いデッキに組み序盤からミニオンを展開しつつこのあたりのバフカードで押し切る、という方向性もあり得ます。特にハンター、デーモンハンターはこういう攻撃的な戦略に向いています。ドラフトで取れたカード次第で検討しましょう。
なお、今度のカードプールは以下の通りです。「ここ1年のカード+基本・クラシック+旧神のささやき(2016年)+ガラクロンドの目覚め」という形になります。
2019年度のカード(「ドラゴン大決戦」「悪党同盟」「探検同盟」)は退場です。「双暴帝」を警戒する必要はもうありません。
注目のヒーロー
新カードを見て、活躍が期待されるヒーローと、ドラフトのアドバイスを紹介します。ただし……
注意:ヒーローの強さは、Blizzardのさじ加減(カードの出現率調整)で大きく変動します。米国大統領選の下馬評を眺めるような気持ちで読んでください。
メイジ
2枚の変妖が低レアレティながらいい感じです。特に「花火のエレメンタル」は素の状態でも強いのに変妖すると鬼のように強い。ドラフトで6コスト以上を集めてでも狙う価値があります。
変妖カードが多い環境では、ヒーローパワーの強いヒーローが有利です。なぜなら、例えば4マナの変妖カードを持っているときに「5ターン目に5マナのカードを使う(手札の4マナが変妖する)→次の6ターン目に4マナ変妖態を出す」と動いて2マナ余ることが多くなるからです。いつでも使いやすいヒロパを持つメイジ、ウォーロックなどは良い感じにマナの余りを埋められます。
変妖の他には一応秘策シナジーが用意されてますが、秘策そのものがそこまで強くないため積極的に狙うほどではないでしょう。
そしてなんといっても「グランドフィナーレ」が強烈なフィニッシャーです。最低値でも8/8が約束されているうえ、2体召喚できれば試合を大きく動かし、3体以上出てくればその名の通りグランドフィナーレとなるでしょう。
「グランドフィナーレ」を取れた場合、エレメンタルシナジーを狙いたいところです。上記の「花火のエレメンタル」に加え「スイーツサイクロン」や「ガイアワーム」、既存カードでも「暴れアバランチ」「魔力増幅体」などのエレメンタルセットがあり、ドラフトがエレメンタルに偏れば寄せる価値があります。
パラディン
「メリーゴーランド・グリフォン」がすごい。素でも5/5聖なる盾であるのに、変妖で5/8/8聖なる盾+挑発という破格のスペックになります。これが取れた時は6コスト以上のカードの枚数に気を配りましょう。「レッドスケールのドラゴン使い」も強く、出やすいコモンカードに恵まれています。
また、シルバーハンド新兵関連のシナジーも狙えます。「縁日」「空襲」などの新兵関連カードが取れた時は、下のような新兵(体力1)強化カードを集めましょう。うまく手札にそろわなくとも、ヒーローパワーの新兵に効果を適用するだけで一応最低限の仕事はします。
こんなん「ティリオン・フォードリンク」ですよ。エピックなのであまりお目にかかれませんが、異様なパワーカードです。
デーモンハンター
低レアリティカードがとにかく強い。それも癖のない強さで、安定した働きが期待できます。優秀なヒーローパワーと合わせ、今まで通りアグレッシブに攻めていけるヒーローです。
つよい。
このあたりもなかなか。
特徴として、固有の「変妖」カードはどちらも3マナです。4コストのカードを多めに取ることで5ターン目にすぐ変妖態を使うことができるので、多少意識しておきましょう。
先ほど「重いカードを取ろう」と書きましたが、変妖がどちらも3コストのこのヒーローに関しては例外です。低~中マナ帯のカードを集めて序盤から攻撃を仕掛けるのが良い戦術だと思います。
おわりに
ということで環境予想でした。次の環境では急襲、挑発、そしてなんといっても変妖という巻き返し手段が増えることで、逆転がしやすい環境へと変わるのではないかと思います。環境をまたいで異なるゲーム性を楽しめるのはうれしく、リリースを心待ちにしています。
それでは、ダークムーンフェアの闘技場でお会いしましょう。