そもそも何をするゲーム?
「ハースストーン・バトルグラウンド」(通称バトグラ)は、毎ターンにミニオンや呪文を買って自分の戦団をどんどん強化していき、他のプレイヤーと戦っていくゲームです。
このゲームにおいて「これ1体で勝てる」ようなミニオンは存在しないため、ミニオン同士の効果をうまく組み合わせて鍛えていく必要があります。
配られたミニオンの中から、その場で作れる強い組み合わせを考えて勝ち抜いていくのがバトグラの醍醐味で、麻雀やポーカーで言うところの「役作り」に似た楽しさがあります。
まずは「種族」を知りましょう
この記事は、バトルグラウンド初心者の人(チュートリアル直後~レート5000が目安)に向けたものです。このゲームはミニオンの組み合わせで戦っていくゲームですが、そのミニオンはなんと150種類以上。種類が多すぎて何が何だかわからないところもあるでしょう。
そこで、初心者にまずお勧めしたいのは「種族」ごとの使い方を覚えることです。バトグラに登場するミニオンは、それぞれ10の「種族」に分かれています。
ミニオンの効果は、この「種族」が同じミニオン同士で相性が良くなるようにデザインされています。
例えば「悪魔」種族には「酒場のミニオンを食べて、その攻撃力・体力を得る」ミニオンがたくさんいます。
これらは単体で使っても悪くないですが、同じ種族の悪魔によって酒場のミニオンの能力値を上げると効果が高まります。このような相性の良い組み合わせを探し、上手く使っていくことがこのゲームで勝つためのカギです。
ここでは悪魔を例にとりましたが、他の9種族もそれぞれ別の組み合わせで戦団を強化していきます。プレイヤーは配られたミニオンを見ながら、どのような種族の構成に進むかを毎試合考えていくことになります。
この記事では、そんな10種族の特徴をざっくりとお伝えします。読んで実践することで、徐々に強い構成を組んで勝てるようになるでしょう。
10種族といっても多いでしょうから、まずは大まかな特徴をゆっくりと(遊びながらでも)頭に入れていくことがお勧めです。細かな組み合わせやテクニックなどはたくさんありますが、思い切って主要なものに絞りました。
※それでも長くなってしまったので、ざっと流し読みしつつあとは必要に応じて読んでもらうのが良いかと思います
バトグラというゲームを攻略する助けにするとともに、その奥深さの一端を感じていただければ嬉しいです。
①買い売り系種族(エレメンタル・海賊)
最初に紹介するエレメンタルと海賊の2種族は、雇用フェイズ中に多くのミニオンを買い売りする中でお金を稼いだり、戦団を強化したりする効果のミニオンが揃っています。
海賊:コインを稼いで強化
お金を稼げるミニオンと、お金を使うことで強化されていくミニオンが揃っている種族です。
お金稼ぎ役としては「ロック・ジョン・カッパー」「艦隊提督テティス」、強化役としては「火薬の運び屋」「恋煩いのバラード助手」が代表的です。特に「テティス」がすごく、これが複数体集まると1ターンにコインが尽きないほどの海賊を供給しながら強化のための海賊を揃えることができます。使っていて非常に忙しくも楽しい種族です。
エレメンタル:エレメンタルを大量に使用する
同じ種族のエレメンタルを使うごとに強化をしたり、入れ替えコストが無料になったりするミニオンが揃っています。
1ターンにできる限りたくさんのエレメンタルを使うことがアドバンテージとなります。「酒場の逆巻き風」「ウレメンタル」は1枚で2体以上のエレメンタルを供給できるため、エレメンタル構成を組んでいるときは喜んで買いたいミニオンです。
「リサイクル・レイス」の効果で入れ替えを無料にしながら、この2種類のコインを得できるエレメンタルや他の強化ミニオンを探しつつ盤面を仕上げていく動きが強いです。
豆知識:グレード上げとトリプル
一口に強化ミニオンといっても、グレードごとに効果の強さが大きく異なります。
グレード1の「溶岩」はエレメンタルを出すたびに自身の体力が1強化されるだけですが、グレード2の「パーティ・エレメンタル」は味方1体の攻撃力と体力が1ずつ強化、グレード6の「ロックンロック」は味方の全ミニオンの攻撃力か体力を2ずつ強化するといった具合に、高いグレードのミニオンほど効果が強力になっていきます。
高いグレードのミニオンは、コインを支払って「グレード上げ」をすることで初めて酒場に並ぶようになります。
早く強いミニオンを買うためには序盤からどんどんグレードを上げたいところですが、グレード上げばかりにコインを使っていると当面の戦闘で負けてしまい、ミニオンをそろえる前に敗退してしまうのがこのゲームの難しいところです。
いつグレードを上げるべきかは判断力が問われますが、一般的には以下のターンに上げることが多いです。
- グレード1→2 4コイン目(2ターン目)
- グレード2→3 6~7コイン目
- グレード3→4 8コイン目
- グレード4→5 10コイン目
- グレード5→6 状況次第(欲しいグレード6があり、かつライフに余裕があるとき)
これを基準としつつも、盤面やライフの状況で適当に前後させるとよいでしょう。
また、高グレードミニオンを手に入れる方法は他にもあります。同じミニオンを3つ集めると、報酬として今の1つ上のグレードのミニオンを「発見*」することができます。他のプレイヤーより一足先に強いミニオンを手に入れられるチャンスであり、同じミニオンのペアができたらぜひ3体目を狙ってみましょう。
*「発見」の例:候補3つのうちから、自分が望むもの1つを選んで入手できるシステムです。
エレメンタルと海賊の2種族は、雇用フェイズ中に多くのアクションを行うことで盤面強化ができるものでした。次に紹介する3種族は少し傾向が異なり、戦闘中に戦団が強くなっていく効果を持っています。
②戦闘中に育てる種族(アンデッド、獣、ドラゴン)
アンデッド:手数で攻めつつ、1発の重さを高める
名前から想起されるイメージの通り、破壊されたときに蘇るミニオンや、「断末魔」により他のミニオンを召喚するものが揃っており、単体の大きさよりも手数で勝負する種族です。
ただ手数が多いだけでなく、「味方のアンデッド全ては攻撃力+1を得る(居場所は問わない)」という効果のミニオンもいます。この「居場所は問わない」効果は、今自分の盤面にいるアンデッドにはもちろん、将来購入するものや、今後の戦闘中に断末魔、蘇りなどで召喚されるアンデッドにも適用されるのです! 頭数を増やしつつ、一手一手の攻撃力を高めていくのが勝ち筋になります。
執筆時点では下火の種族ですが、4/27のパッチで強化が入るためこれからの活躍が期待されます。
獣:ダメージを受けて強化
戦闘中にダメージを受けるたびに強化される能力を持っています。基本的に戦闘中得られた強化は次のターンには消えてしまうのですが、「永続的に」と書かれているこれらのミニオンは例外です。
※ちなみに、先ほど紹介した「アンデッドの攻撃力を上げる(居場所は問わない)」効果も永続的なものです。
同じ獣には味方全体にダメージを与えるミニオンもいます。この効果は一見デメリットですが、ダメージを受けて強化される獣と組み合わせるとすごい勢いで味方の獣が育っていきます。
この獣は強いミニオンがグレード3,4(欲を言えば5)に集中しているため試合の早い段階で強い盤面が作れますが、その反面将来性は低く1位を取ることが難しい種族でもあります。
豆知識②:中立ミニオンの使い方
「中立」ミニオンは種族のないミニオンです。単体で戦力になるものよりは、各種族ミニオンの働きをサポートするものが多いです。
例えば獣であれば「ファイアーダンサー」による全体ダメージで強化効果を起動する、海賊であれば「グレイメインの勇者」を置きながらたくさんの売り買いをして盤面を強化する、アンデッドであれば「タイタス・リーヴェンデア」を使って強い断末魔効果を2回起動するといった組み合わせがあります。
他にも様々なコンボがあり、今組んでいる構成と相性のよさそうな中立ミニオンを試してみるのが良いでしょう。
ドラゴン:強い戦闘時効果を永続化/雄叫びを活用
戦闘中に大きな強化をするミニオンがいます。本来それらは一時的なものですが、「タレクゴサ」は自身に、「執拗な詩竜」は両隣のドラゴンに付与された効果を永続化するという常識外れの効果を持っています。
単に能力値を大きくするだけでなく、「聖なる盾」をつけられる「アンバーの守護者」、高いグレードにはゴールデン*にできる「招福ユーロン」もいて何でもありです。「執拗な詩竜」がいれば、試合が進む中ですべてゴールデン+聖なる盾の戦団を作ることも夢ではありません。
*ゴールデン:元のミニオンの倍の能力値、効果を持つミニオンです。本来は元のミニオンを3つ集める「トリプル」によって得られる貴重品ですが、「ユーロン」+「詩龍」のコンボで苦労をせずに量産できてしまいます。
また、まったく別の方向性として「雄叫び」をうまく使えるミニオンもいます。「魔力のアスペクト・カレクゴス」を強化の軸としつつ、強い雄叫びミニオンをたくさん使っていくことで盤面のドラゴンすべてを強くすることができます。
中立の「ブラン・ブロンズビアード」がいれば雄叫びも、カレクゴスの能力も2倍になります。この構成を組んでいるときはぜひ欲しいミニオンです。
③固有ギミック系種族(マーロック、悪魔、キルボア、メカ、ナーガ)
残る5種族はそれぞれ今までとは一味違う、癖のあるギミックを持っています。それぞれざっくりと紹介していきます。
マーロック:手札を強化し戦闘中に召喚
盤面ではなく、手札のミニオンを強化する不思議な種族です。マーロックを出すたびに手札で自己強化される「鮰計士」(かいけいし、と読むみたいです)、グレード3としては破格の強化量を持つ「磨き二フィン」が代表的です。
ただ手札を強化するだけでなく、その手札のミニオンを戦闘中に出すというずるい能力を持つものがいるため、エースミニオンを場に出さず手札に抱えておくという特有のプレイングも有りです。
さらに、グレード6には手札の大きなミニオンのスタッツをコピーできる「マロさんコーラス」まで存在します。
マーロックを買い売りしつつ手札の「鮰計士」を育てて「ベースギル」等で出し、終盤には大きくなった「鮰計士」の能力値を「コーラス」でコピーするのが勝ち筋です。
悪魔:酒場を育てて食べる/自傷をメリットにする
先ほど紹介した通り、酒場のミニオンを強化して食べる動きが強いです。さらに、悪魔特有の切り札としてグレード6に「サザーラ」という、戦闘中に破壊された悪魔を使いまわせるミニオンがいます。(能力値、付与効果は維持されます!)
「サザーラ」を手に入れたらエースの悪魔に「挑発」をつけて、確実に復活させられるようにすると強いです。
また、もう一つの種族テーマとして「自分のヒーローにダメージを与える(代わりに何らかのメリットがある)」効果を持った者がいます。
これとのコンボとして、「ヒーローがダメージを受けたときに強化するミニオン」がいます。組み合わせることで、自傷デメリットをも盤面の強さに変えるというトリッキーな戦術があります。特に、「ソウル・リワインダー」は受けたダメージを帳消しにしながら強化できる重要ミニオンで、これを手に入れると自傷すら純粋なメリットになります。
キルボア:血の宝石を強化して使いまくる
聞きなれない単語ですが、豚か猪?の獣人のようです。「血の宝石」という特有の呪文を駆使する種族で、これを供給するミニオンがそろっています。
「血の宝石」は最初はミニオンに+1/+1を付与する呪文ですが、下のようなミニオンを使うとその試合中に使う「血の宝石」の強化量がどんどん増えていきます。最終的には1枚の「血の宝石」で20/20以上の強化値になることもあり、圧倒的な大きさで相手を押しつぶしていける種族です。
強いキルボア構成を組むためには、「血の宝石を供給するミニオン」と「血の宝石を強化するミニオン」の両方が必要です。片方に偏りそうであれば、たくさん入れ替えをしてもう片方を探しに行きましょう。
メカ:超電磁で特殊能力を付与/仇討でアドバンテージを得る
「超電磁」という固有の能力があります。合体ロボットのごとく、手札の超電磁メカを他のメカに組み込む(そのメカの左側に召喚しようとする)ことで攻撃力、体力、特殊能力を合体させることが可能です。超電磁合体でボーナスの強化を得られるミニオンもいます。
また、「仇討」と呼ばれる、戦闘中にいくつかのミニオンが破壊されるたびに効果を起動できるものがいます。これと「断末魔」などのミニオン召喚を組み合わせることで、たくさんの回数仇討ちを起動するのが有効な戦術です。
執筆時点ではあまり強い種族とは言えませんが、アンデッド同様4/27のパッチで強化されたため今後に期待です。
ナーガ:呪文のスペシャリスト
この種族のテーマは「呪文」です。「呪文錬成」という一時的な呪文を毎ターン生成するミニオンがいます。この呪文錬成や酒場の呪文と、「健闘士」のような呪文を唱えるたびにメリット効果を得られるミニオンを組み合わせて盤面を強化していく種族です。
じつはこのナーガも執筆時点ではお世辞にも強い種族ではないのです……が、バトルグラウンドではこまめにミニオンプールの更新やバランス調整がなされるため、今後どこかで強い種族になるかもしれません。
発展:別の種族との組み合わせが楽しい
ここまでが10種族の紹介でした。各種族に独特のメカニズムがあり、幅広い戦略が存在することを伝えられたらうれしいです。
うすうす気づいた方もいるかもしれませんが、各ミニオンの効果は種族内で完結するものではありません。他の種族と組み合わせることで強い構成を作れるミニオンもたくさんいます。
典型的なのは「ライラクのメタルヘッズ」や「大きくなれよマーク・アイ」です。これらの種族は獣やマーロックですが、この2種族以外にも強い雄叫びはたくさんおり、多くのコンボの可能性を秘めています。
種族の枠にとらわれず、様々なミニオンを臨機応変に組み合わせて勝つのはひときわ嬉しいものです。最近組んだ構成の中でも、特にごちゃ混ぜのものを例示させてください。
この雄叫び酒場呪文ナーガ舐めてたけどうまいことまとまった グレイメインが呪文に対応するの強すぎる pic.twitter.com/EMKYMiBKU6
— 佐藤九日堂 (@sato9kado_hs) 2024年4月19日
解説(早口:少し話が長くなるので読み飛ばしても大丈夫です)
この構成の軸は「救世主ナラァ」による各種族の強化です。「ナラァ」の起動条件になる呪文を調達する手段として、「蘇り」の付いた「ライラクのメタルヘッズ」でゴールデンの「貝笛師」を発動、さらに「ブラン」で雄叫びを2倍にすることで毎ターン計10枚の呪文を得ることができます。加えて、「グレイメインの勇者」は偶数グレードのカードを使うたびに味方の偶数ミニオンが育つ能力を持っています。「貝笛師」が持ってくる10枚の呪文はすべてグレード2で「グレイメインの勇者」の効果対象となるため、盤面を大きく強化することができました。
※ドラゴンは「カレクゴス」である必要はなく、理想的には「デススケイル」などでさらに雄叫びを起動する方が強いです。ただし、毎試合欲しいミニオンが取れるわけではないので、持っていた「カレクゴス」で妥協しました。
なんかカードゲーム漫画でコンボを説明するような書き方になってしまいました。このバトルグラウンドは元来ハースストーンのサブモードとして開発されたという経緯もあり、こんな感じでカードゲーム的なコンボを組んでいくゲーム性となっています。
同じ種族(テーマ)にとらわれず、別の種族から相性の良いカードを出張させて使いこなせたときは特有の嬉しさがあります。慣れてきたら、種族の枠を超えていろいろ試してみることをおすすめします!
最後にお伝えしたいことがあります。
完璧を目指さない
できるだけ主要な知識に絞って書いたつもりですが、それでも10種族というのは多いものですし、さらにこの10種族の中でも書ききれなかったメカニズムがあったりします。 はじめから完璧な選択をするのは無理なので、焦らず徐々に知識を増やしていくのが良いかと思います。
最初のうちは得意な種族に決め打ちしたり、例えば8ゴールド時点で最も多い種族のミニオンをかき集めて強そうな組み合わせを探ってみるといった感じでもいいかと思います。(筆者も初心者のころはメカばかり使っていました)
なお、各試合では10種族のうち5つがランダムに選ばれ、残る5種族は登場しないようになっています。得意の種族が出ない試合もあるかと思いますが、そんな時こそ他の種族を試してみるとよいでしょう。
ゲーム開始時のヒーロー選択画面では、その試合で登場する種族が画面上に表示されます。中級者以上の試合では、登場種族に適性のあるヒーローを判断することも重要になります。
実践を通じてどんどん引き出しが広がり、手に入ったミニオンに応じて進むべき構成を選べるようになるはずです! とても奥の深いゲームなので、初心者のみなさまがじっくり上達しながらハマっていくのを、沼の深みでお待ちしております。
楽しいバトグラライフを!