ハースストーンプレイヤーのみなさん、あけましておめでとうございます!
このブログでも恒例となりました「格付け」、今年もやっていきましょう。一流プレイヤーのみなさんの健闘を祈ります。
解説として現環境のデッキづくりのポイントにも触れていますので、興味があれば読んでみてください。
~ルール~
- 問題は全3問。最新の「ダークムーン・フェアへの招待状」環境で強いヒーローである、パラディン、ウォリアー、シャーマンの闘技場デッキを持ってきました。
- 選択肢の中で1つだけ闘技場で12勝したデッキがあります。どれが12勝デッキか当ててみてください。
チェック① パラディン
バランス調整以降3番手のヒーローと目されているパラディン。12勝デッキはどちらでしょう?
正解、解説を読む
正解はAのデッキです。Bのデッキは2勝に終わりました。Bはもっと勝てるかと思いましたが、いずれにしろ12勝できるほどの安定性はありませんでした。
解説
Aのデッキは序盤から終盤まで単体で強いカードが多く、デッキバランスも良かったため安定して勝つことができました。
2,3マナが薄めですが、初手として相当優秀な「初登校の日」と「封印されしサンギル」が複数枚とれているので、序盤の弱さを感じることはなくむしろ序盤でリードを築くことができました。
「ガーディアン改造屋」「穴掘りのスコーピッド」は良いカードですし、細かい打点が苦手なパラディンではさらに優先度が上がります。
終盤の動きも強い。「クレーンゲーム」は純粋に強いカードですし、「メリーゴーランド・グリフォン」も変妖起動のための6コスト以上のカードが集まっているため、安定して変妖体を召喚できました。
Bのデッキは強力なレジェンド4枚が集まっており強そうに見えます。しかし、3コストが薄く、4コストも質が低いのが致命的でした。強力なレジェンドミニオンが活躍する前に押し切られてしまうのが残念でした。
強い巻き返し手段がそろっているプリーストなどのヒーローならともかく、パラディンでこの序盤の弱さは致命的でした。ドラフト時は1~4マナの質と量を意識するとよいです。
3枚ある「レッドスケールのドラゴン使い」は標準的な能力値に加えて1枚ドローができる屈指の新カードです。これが3枚もあるのですから、他のカードはもう少し軽めにしてもよかったと思います。「深き淵の神ン=ゾス」は優秀なフィニッシャーで、特に「フリートフーフ・パールタスク」「空を駆けるトビウオ」のような即効性のある種族ミニオンがあると評価が上がります。
補足
デッキには入っていませんでしたが、「縁日」は良い新カードです。単体でもいいカードである上、「ダークムーンの像」「風船売り」と相性が良く、ドラフト時には意識しておきましょう。
チェック② ウォリアー
武器をはじめとしたパワーカードに恵まれ、現環境最強といわれるウォリアー。12勝デッキはどっち?
正解、解説を読む
正解はAのデッキです。Bのデッキは5勝に終わりました。
解説
どちらのデッキも個のカードパワーはかなり高いです。5勝したBのデッキは軽すぎる印象を受けますが、2枚ずつある「叩きつけ」「ワンド職人」「クレーンゲーム」のおかげで軽すぎるというほどではありません。
何が問題だったのかというと、武器被りです。ウォリアーにはありがちな問題ですが、現環境はつい取りたくなるような強力な武器が多いため特に注意すべきポイントといえます。
・武器の枚数
武器の枚数はAが6枚、Bのデッキともに5枚です。原則として4枚以下だとよく、5枚はやや多く、6枚は明確に過多な印象です。
「封印されしガナーグ」、「アラシの武器職人」、「剣食い男」も武器としてカウントします。ほかにも「ン=ゾスの一等航海士」など強力な武器カードが多数取れるのが今の環境です。ドラフト中は「迷ったら武器を避ける」のがコツです。
「アルカナイト・リーパー」のようなそこそこの武器はそれほど多く取りませんし、以前はマストピック扱いだった「アラシの武器職人」でさえ流すこともあります。それ以上に強く、頻繁に出てくる「封印されしガナーグ」「剣食い男」の席を空けておくためです。
本題に戻りましょう。Aは武器6枚、Bは5枚のデッキでむしろAのほうが武器過多に見えます。なぜ明暗が分かれたのでしょうか。
・デッキの構造
Bのように序盤から速攻するデッキでは、武器被りによるテンポロスがより致命的になります。終盤が薄めなので、序盤でまごついていると試合が長引き、苦手な終盤にもつれ込んでしまうのです。
またBのデッキの「ゴアハウル」はデッキとの相性がよくありませんでした。後から引いた「剣食い男」などが出せなくなってしまいますし、序盤から武器を振り回すので「ゴアハウル」を使い切るためのライフが残っていないこともしばしばありました。
あと、武器でミニオンの処理を行うため「叩きつけ」や急襲ミニオンとの役割がかぶりがちで、そのあたりが多かったのもマイナスポイントです。
このように武器の枚数だけでなく、デッキの重さ、他のカードの役割によっても武器被りの深刻度合いが変わってきます。もちろん4枚以下に抑えるのがベストですが、現環境は下の2枚のように、多少の武器被りを覚悟してでも取りたいカードがあるのも事実です。そのようなときは、Aのように他の処理呪文を減らす、若干重くする(もちろん挑発などの防御手段を確保の上で)といいでしょう。
チェック③ シャーマン
バランス調整後、ウォリアー以上に強い(と思っている)ヒーローです。最後は3択で、選択肢には12勝、7勝デッキに加えて1勝デッキを入れました。「絶対アカン」ってやつです。
1勝デッキを選ぶと2ランクダウンなのでご注意ください。一流プレイヤーのみなさんなら、まさかそんなことはないと思いますが……
正解、解説を読む
正解はBです。ちなみにAは7勝デッキ、Cは1勝デッキです。
もっとあからさまな12勝デッキもあったのですが、それでは問題にならないためこのデッキを持ってきました。なぜ強かったか解説していきます。
・個のカード
「ストームストライク」はコストパフォーマンスが高く、かなり優秀な新カードです。また既存では「蛇寺院のポータル」「嵐の目」「炎まとう無貌のもの」など良いものが集まっています。
このデッキでは取れませんでしたが、新カードの「ダンクタンク」「ノール叩きのハンマー」はそれぞれ非常に強く、ほぼ見かけただけ取っていいと思います。
さて、個のカードパワーではAとBに大差ないと思っています。違いはデッキ全体の方向性とシナジーにあります。
・デッキの方向性
Bのデッキは終盤がかなり強いです。「嵐の目」をはじめとして、変妖した「サーカスの救護員」「フリートフーフ・パールタスク」も強い終盤の動きです。試合が長引けば「転生ヴァッシュ」を引くチャンスも増えます。
問題は「いかに終盤まで持ち込むか?」ということです。このデッキでは2-3マナはさほど充実していませんが、かわりに「高波」「非道の指導教員」のような全体除去、「錆鉄騎の略奪者」のような処理手段が充実しており、安全に終盤まで試合を進められました。
「空飛ぶほうき」もよい逆転の手段になり、序盤の弱いデッキでは優先度が上がります。
・進化シナジー
今のシャーマンを使うならぜひ意識しておきたいポイントです。このデッキでは「ボグスパイン・ナックル」や「爆発的進化」が取れています。また今の環境では「進化」「進化を統べるもの」もあり、進化カードが数多く取れます。
このようなカードが集まった場合、進化と相性の良いカードの評価が上がります。「錆鉄騎の略奪者」のような召喚ターンに多くの仕事を終えるカードや、「ネルビアンの預言者」「地底よりのもの」のようなコストが下がるカードが良く、Bのデッキにはそれらがそろっています。
これらと進化カードの組み合わせでテンポスイングを起こして勝つ試合がいくつかありました。
総じてBのデッキはカードパワーが特別飛びぬけているわけではありませんが、デッキ全体として方向性がまとまっており、進化シナジーも備わっているため強いデッキでした。Aもカードパワーでは劣りませんが、このような方向性のまとまりやシナジーには欠けていました。
1勝で終わったCのデッキは、A,Bほど強いカードに恵まれませんでした。さらに、前のめりなデッキのため「ライトニングストーム」「ダークムーンうさぎ」が使えない局面が目立ちました。
一応「豊沃なる胞子」や「血の渇き」は前のめりなデッキに合っているのですが、ほかの要素が弱かったです。
「炎の舌のトーテム」や「ライトニングストーム」は昔ならマストピックでしたが、インフレが進んだ今は中堅レベルで、特に「炎の舌のトーテム」は増えた急襲ミニオンに弱いのでかなり評価が下がりました。「ファイア・エレメンタル」はさすがに今でも強いです。
シャーマンに限らず昔のパワーカードには強いイメージを持ってしまいますが、他に強いカードが増えた今ではさほどでもなくなっていたりします。TierリストやHSReplay.netを見ると、イメージと実態が離れていてびっくりすることがよくあります。
格付け結果
全問正解:闘技場の覇者
2問正解:闘技場の常連客
1問正解:無貌の酔客(そっくりさん)
0問正解:蒸発
※第3問でC(1勝デッキ)を選んだ場合2問分のミスとしてカウント
他にはプリーストも強いようですが、筆者が昨年内に12勝できなかったので問題には載せられませんでした。難しいヒーローだと思います。
現環境はシャーマンのBのような序盤緩めのデッキでも12勝できたりして、少し前とはゲーム性が変わったように思います。これはこれで面白い環境だと思いますので、普段から闘技場を遊んでいる人はもちろん、あまりやらない人もたまにはやってみると楽しめるかと思います。
それでは、2021年も闘技場でお会いしましょう!