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ハースストーンの闘技場・バトルグラウンドを勝ち抜く戦略

≪帳簿の改竄≫を徹底的に考察する [科学するバトグラ②]

≪帳簿の改竄≫は登場以来、常にトップクラスのパワーを発揮しているクエスト報酬です。ただしやや癖の強い報酬でもあり、そのパワーを引き出すためにはコツが要ります。

この記事では、統計データを分析しながら≪帳簿の改竄≫の強い使い方を考えていきます。

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(参考:筆者実績)

現在のレートは13500~14000程度です。7,9,10月にはラダーで上位に入り、ロビーレジェンド予選の権利を獲得しました。

そこそこの戦績は出ていますが、トップのプレイヤーとは差があります。特に上級者のみなさんは、半信半疑で解釈頂けると嬉しいです。

 

要点はこんな感じです。

  • 達成速度が特に重要で、できれば6ターン目達成、好条件がそろえば7ターン目達成まで許容範囲。それより遅れそうなら取らない方がいい
  • メカはあると強いが、無くても平均的なクエスト報酬より良い
  • 達成を早められるクエストの場合、グレード2に残って最速達成を目指すのがよい。その後10~15(諸説)まではグレ2でバフを稼ぎ、その後3を飛ばし気味に4に上げる
  • 達成が早まらない場合通常通りグレ4に上げる。エレ、海賊がいれば5発見の相性がよく、優先度を高める

 

勝負はクエスト選択時点で半分くらい決まっています。クエスト条件を見て、「これは本当に取れる帳簿か?」と考えることが特に重要です。以下、統計データをもとに考察していきます。

 

エスト選択時に考えること

①速さが何より重要:できれば6ターン目までに、7ターン目は場合による。

効果が時間とともに大きくなっていくこのクエストでは、達成速度が何より重要です。達成ターンごとの平均順位データは、この重要性を裏付けています。

 

達成が1ターン遅れるごとに、平均順位は0.6~0.8程度下落していきます。この下落幅は他のクエスト報酬と比較しても大きく、達成ターンが特に重要な報酬といえます。

 

論点は「いつまでに達成すればよいか?」ですね。8ターン目達成の場合の平均順位は全報酬の平均を大きく下回っており、そうなった場合あまり強くない報酬といえます。帳簿が提示された際は、できれば6ターン目まで、他に有利な条件があれば7ターン目までに達成できる場合に取りましょう

 

これは感覚的な話ですが、達成が7ターン目になる場合でも少し弱い感じがします。単に達成できているだけではなく、グレ4に到達でき、理想的にはグレ5発見の見込みが立っているとよいです。グレ5には「ホガァァァ船長」や「厨房の悪夢ノミ」、次点で「ブラン・ブロンズビアード」や「錆きの聖者」といった、帳簿と相性の良いミニオンがいるため達成の遅さを挽回することができます。

また相性の良いヒーローであれば7ターン目、他の条件が揃えば8ターン目の達成も許容範囲かと思われます。具体的にはヴォルジン、ジャンディス、ミュターヌスなどで、帳簿のバフを重ねがけ出来るヒーローは相性が良いです。

 

まとめると、達成ターンごとの位置づけはこのような感じです。1ターンの差が非常に大きな報酬なので、達成速度を入念に見積もることをおすすめします。

  • 6ターン目まで:強い。積極的に取る。
  • 7ターン目:普通~やや弱め(グレ4にいるかヒーロー適性があれば許容範囲)
  • 8ターン目以降:かなり弱く、他のクエストを取ったほうが良い

 

②クエストごとの違い:早く達成できるものが良い

対応するクエストごとの順位データからは、少し特徴的な傾向が見えています。

 

「予想外のコンビ」(種族使用)、「恐怖の悲鳴」(雄叫び使用)などで特にいい順位が出ています。これらの共通点は、頑張れば早く達成できることです。

これらのクエストを6ターン目までに達成できそうなら、とにかく達成に全力を注ぎましょう。(クエストを取った後の動きは後で詳しく解説します)

「面通しの準備(召喚)」「事件の晦冥(攻撃)」などは、6ターン目までに達成できそうならもちろんOKです。そうでなくとも、これらのクエストはグレードを上げながら達成できるので、7ターン目までにグレ4に上げつつ達成できるなら取れるかもしれません。

特に悪いのは「金の動きの追跡(ゴールド使用)」です。帳簿の場合はだいたい45-55ゴールドの使用を要求されますが、これを達成できるのは8-9ターン目です。すなわち、このクエストで出てきた場合の帳簿はまったく強くありません。

 

③種族適性:メカはいなくとも何とかなる

種族ごとの平均順位の変化もまとめました。「帳簿はメカがあると強い」とよく知られている通り、メカがいる場合は平均0.1ほど改善しています。

あとは、海賊は「宵越しの博打打ち」「ホガァァァ船長」との相性がよく平均順位が上がっています。

ただし、メカがなくても平均順位は3.4程度出ており、全報酬の平均(3.66)を依然として上回っています。条件が十分軽ければどのような種族BANでも取ることができるでしょう。

 

4ターン目に考えるべきことはこんなところです。まとめると「6ターン達成までが強く、7ターンは他の好条件がそろえばOK。メカはいなくてもよい」と言ったところです。

特に達成速度が大事なので、プレイの際は強く意識しましょう。

 

エスト選択後の動き

帳簿に紐づいたクエストによって、取るべき行動が変わります。

(A)急げば6ターン目までに達成できそうな場合:全力で達成し、グレ2でカウントを稼ぐ。

雄叫び、種族使用クエストなどを取った場合がこれにあたります。

このクエスト報酬の場合、達成の速さが何より重要です。6ターン目を目標に早期達成を目指しましょう。(重要なので何度でもお伝えします)

帳簿の場合、グレ上げは遅らせて大丈夫です。条件に合うミニオンを探すために、4-6ターン目には1~2リロールしながら条件に合ったミニオンを買うことが正当化されます。

 

エスト達成後:グレ上げはゆっくりでよい

エストを達成した後も、急いでグレードを上げる必要はありません。帳簿を取った場合、グレ3への到達は7-9ターン目辺りの場合で高い平均順位が出ています。普通のプレイ(5ターン目)とは違い、かなり遅いグレ上げで大丈夫です。

 

なぜグレ2に残るのが重要かというと、帳簿のカウントを稼ぎやすいことが理由と思われます。

下はコインを得してカウントを稼ぎやすいミニオンの一覧であり、帳簿を使う場合は優先的に購入したいです。

  • グレ1:野良猫、ウレメンタル、貝殻収集家、(甲板磨き、入替異常体)
  • グレ2:辛抱強い斥候、タッド、宵越しの博打打ち
  • グレ3:なし
  • グレ4:レンドル、原始フィンの見張り番

 

現環境ではグレ1、2にコインを得するミニオンが集中しており、グレ3には全くいないのです。このことから、カウントを稼ぐのはグレ2がベストといえます。この段階ではあまりミニオンをえり好みせず、見えたミニオンの半分から3/4程度を買っていくようなイメージです。

カウントを進められれば盤面もそれなりに大きくなるので、ライフも守れるはずです。おまけに出てくるミニオンの種類が少ないため、帳簿で重要なトリプルを狙いやすいという強みもあります。

一般的にターン6以降のグレ2滞在はミニオンの戦闘力が小さく、また軸も得られないのでじり貧になりがちですが、バフを累積できる帳簿であれば問題ありません。

 

ただし、聖なる盾、超電磁やワイド攻撃などバフを活かすことができるミニオンはグレード3~4以降に集中しているので、いつまでもグレ2に留まるのはもったいないです。特に「ミニオン団子」や超電磁によるバフ量がずば抜けているため、グレード4に行く価値が非常に高いです。

そのため、ある程度(10~15程度:諸説あり)のバフ量になったら、グレード2からグレード3をすぐ通過し、グレード4に入るのが合理的な戦略です。その後は経済的ミニオンや超電磁、戦闘員に絞って購入していきます。戦闘員としてはよく知られている通り、以下のミニオンが相性がいいです。

戦闘員の例:聖なる盾ミニオン(特にハジキロボ)、献身(+インコ)、ヒドラ、山火事のエレメンタル、アドラメデス

 

他に重要な点として、超電磁を受けるためにメカを1体は用意しておきましょう。また「厨房の悪夢ノミ」同様に、トリプルにして帳簿バフを重ねる行為が強力であり、普段よりペアを残す優先度が上がります。

 

※グレード5への上げについて

意見が分かれるところかもしれませんが、筆者はあまり上げません。

グレード5に上げた場合、帳簿で特に重要な超電磁やミニオン団子の出現率が下がることが大きなマイナスです。(グレード5に上げることで、これらの出現率はおおよそ14%程度低下します)加えて、帳簿の勝ち手段の一つであるトリプルも狙いにくくなります

これらの点から、グレード4にとどまるメリットが大きいと考えます。

ただし、ホガァァァ船長が発見でき、かつ盤面が強いときに2体目やトニーを求めて5に上げるケースはあります。また、最終盤にグロースケイルやリロイ、ホワイトメインのようなテックカードを求めるのは合理的で、グレ上げコスト2-5程度を払って上げることはあります。

 

 

(補足)もっと科学したい人へ:確率で見るトリプルの狙いやすさ

※トリプルの狙いやすさは、単一ミニオンの出現率に相関します。

グレ2→グレ3上げによって、狙ったミニオンの出現率は2/3程度以下になり、トリプルがかなり狙いにくくなります。下は各酒場グレードごとのミニオン出現率表です。

一方、グレ3→グレ4ではトリプルはさほど狙いにくくなりません。ミニオンプールは増えますが、酒場が4体→5体になるのが有難く、単一ミニオンの出現率があまり下がらないからです。このわずかな出現率低下によるデメリットよりも、超電磁2種と団子がプールに加わるメリットが莫大なため、3→4はできればすぐに上げたほうがいいと思っています。

4→5については、酒場の枚数が増えるわけではないのでトリプル出現率にやや大きい影響があります。

 

 

(B)急いでも達成がさほど早くならないクエストの場合:必ずしもフルコミットしない

グレ上げを遅らせても達成が早くならなさそうな場合は、先行してグレードを上げましょう。達成までは主にグレ上げにコインを使い、達成直後から購入にコインを使ってカウントを進めるのが合理的です。ただし、クエスト達成ターンに影響が出そうな場合はちゅうちょなく下のグレードを回りましょう。

 

この場合、(A)に述べた帳簿の達成とカウント稼ぎにフルコミットする戦略だけでなく、他の軸の補助に帳簿を使うようなゲームプランもありです。

買い売りにメリットが出る高グレードのミニオン(ホガァァァ船長、ノミ、ブラン、次点でリサイクル・レイスなど)を軸として盤面を大きくしつつ、カウントがたまってきたら超電磁や団子により大きなアドバンテージを得ていくイメージです。

 

このプランは何を軸にし、どの程度まで帳簿を活かすか、いつグレードを上げるべきかなどの判断にアドリブが求められ、先の低グレ帳簿より格段に難しい印象です。また達成が遅くなる+早めにグレードを上げていくため、ライフ管理もシビアになります。

ただし難しいながら爆発力は高い戦略です。ある程度自信がついてきた方は、引き出しの一つとして頭に入れていくといいかもしれません。

 

 

最後に

要点をまとめます。速度が特に重要です(5回目)

  • できれば6ターン目達成、好条件がそろえば7ターン目達成も許容範囲。それより遅れそうなら取らない方がいい
  • メカはあると強いが、無くても十分強い
  • 達成を早められるクエストの場合、グレード2に残って最速達成を目指す。その後10~15(諸説)まではグレ2でバフを稼ぎ、その後3を飛ばし気味に4に上げる
  • 達成が早まらない場合通常通りグレ4に上げる。エレ、海賊がいれば5発見の相性がよく、優先度を高める

 

単一クエストで5000字+数表の長い記事になってしまいました。ここまでお付き合いいただいた方はありがとうございました。

≪帳簿の改竄≫はクエスト実装以来安定的に強い報酬なので、うまく使えれば強い武器にできるかと思います!この記事が役に立てばうれしいです。

 

※この記事はバトグラ技術部データ分析班のデータを用いて書かれています。データ提供者のみなさま、データを取りまとめてくださったみなさまに感謝します。