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ハースストーンの闘技場・バトルグラウンドを勝ち抜く戦略

(雑記)実力と運の間で ―ジャラクサス杯レポート―

真剣勝負の場を求めて

ゲームそのものは楽しい。環境の調整にも不満はない。だけど何か満たされない。

2022年に毎月行われていた「バトルグラウンド ロビーレジェンド」は、今年に入ってその規模が大幅に縮小されました。かつて”サーバーごとのトップ16”が”毎月”予選に招待されていましたが、2023年には”トップ4”、”3か月に1回”と大幅な縮小がなされました。

率直に言って、ロビーレジェンドの予選やその権利争いのラダーはかけがえのない緊迫感を伴う勝負でした。ラダートップ10~40くらいをさまよう私にとって、今年の変更はこのような真剣勝負の場を失うことを意味しており、それ以来張り合いのない時間を過ごしていました。

 

このまま中途半端に取り組むのも楽しくない、かといってトップ5を目指すだけの時間も力量もない。次の楽しみ方を模索していた中で、今まで距離を置いていたコミュニティ大会に出てみることにしました。

 

大会に出てよかったこと

私が主に出ていたのはけろもんさん主催の「ジャラクサス杯」です。毎週木曜に開催され、累積勝ち点に応じて毎週クラスアップ、ダウンを行い、総合的な勝ち点を競う大会です。

 

 

最上位の卓に残った面々の平均レートは12000程度でしょうか、ここまで来るとラダーよりも厳しい戦いであることが体感でわかりました。回を追うごとに真剣勝負の度合いは増し、木曜日の大きな楽しみとなりました。

おそらく他の同卓者にとっても同様の感覚があったのではないでしょうか。主催のけろもんさん、運営補助のとっちさん、協賛のRyuzoさんにはこの場を借りて感謝をお伝えします。

 

総合2位に入れました。ただ優勝者には完敗でした。

次があればぜひリベンジを。

 

真剣勝負ができた他にも副産物として、自分のプレイの特性がなんとなく見えたのもひとつ良かったかなと感じています。

配信卓で自分のプレイを評されたり、早く負けた時に他の参加者を観戦したりする中で、自分はなんとなく序盤のグレ上げ判断や引きが弱いときの耐えが得意なんだろうなという気がしました。他方、例えば優勝者のぎゃんさんは終盤の詰めが強い、みたいな個々の特性が見えたのも面白かったです。

 

あとは親近感、のようなものもあるかと思います。大会を機にいきなりマブダチになれるようなものではないですが、それでも毎週同じ卓を囲んでいると親近感が湧くものです。「大会に出て知り合いや友達が増えた」という人がいましたが、なんとなく納得です。

 

実力と運の間で

「なぜ今まで大会から距離を置いていたか」を少し書きたいと思います。

バトグラは運の要素が強いゲームです。回数を重ねられるロビレジェやシーズン制の大会ならまだしも、単発勝負の大会はどうやったって運の要素に大きく左右されます。大会における戦績は、レーティングほどはっきりした実力の指標にはならないでしょう。

 

そのような単発勝負で、単純に不本意な負けを経験したくない思いがありました。自身はなかなかの負けず嫌いでして、大会優勝が懸かった場面で当たり方が悪く負けたりするとなかなかにしんどい思いをします。

ラダーなら好きなだけ「もう1回やらせろ」が通りますが、大会でそんなことは言えませんね。

 

加えて、私自身は1回の勝負に入れ込むことを望まず、数を重ねることで教訓を得て上手くなりたいという志向があります。そのため、1戦~3戦にフォーカスするような大会は、偏った成功体験/失敗体験を強く刷り込み過ぎるリスクがあると思っていました。それよりは、レートという明確な指標で自分の強さを知ることができるラダーを好んでいました。

 

バトグラが分散のゲームである以上、今も大会がレート以上に信頼性のある実力の指標になるとは考えていません。

しかし、実力の指標にならないまでも、単純に強い人たちと勝負できただけで個人的に価値がありました。加えて、今回の大会のように継続して強い者をふるいにかけていくような制度はとても都合が良かったです。大会のコンセプトと自らの嗜好がぴったりはまった気がします。

※一度主催者ご本人にも伝えましたが、「グランドファイナル的なものをあえてやらず、今までの積み上げで総合優勝を決める」のも個人的には好きなポイントです。盛り上がりは薄れるかもしれませんが、より堅実に成績を評価できると思います。

 

今後もこのような場があればぜひ参加したく考えていますし、もし他にレベルの高い勝負を求めるプレイヤーがいればぜひお勧めしたいです。

 

 

当たり前ですが、この考えはガチ勢寄りのプレイヤーによるものであり、大会をもっとカジュアルに楽しむような人もたくさんいるかと思います。ラダー、大会、フレ戦等々ある中で、自分の嗜好に合った場所を見つければよいかと思います。

 

また、実力が十全に反映されないからこそ楽しいことも大いにあります。

仮に純粋な実力ゲーで、毎週同じような人が勝つとしたらそれはそれで意義があるのでしょうが、残された人が栄冠を得るチャンスは少なく、大会は比較的ストイックな場所にしかなりえません。

そうではなく毎週違う人が代わる代わるヒーローになれる場は、単純にその人にとって代えがたい機会ですし、界隈が盛り上がる要因にもなると思います。

 

一方で、不本意な運負けはラダー以上に悔しいものになります。ただし、そのような中でも勝者を称える、それが難しければせめて沈黙を貫くのが礼儀かと思い、それを徹底しました。

一部の大会参加者が「一生タイタス引けずに1没おもんな」「みんな当たり方上手いねえ」みたいなツイートをしたくなる気持ちもよく理解できましたが、自分の中ではぐっとこらえました。そのような言葉で実力を証明できるわけではなく、淡々と長期的に結果を出すほかないと思っています。

 

うっすらと感じる危機感

「バトグラの上手い日本人」と言われて、誰を思い浮かべるでしょう。

日本には多数の優れたプレイヤーがいます。ただし、そのほとんどは古参寄り、少なくとも一昨年までには頭角を現していた人ではないでしょうか。2022年からの1年半、新たなスターと呼べる人はこの界隈に現れたでしょうか。

実際に前シーズンのランキングの1ページ目を見てみると日本人は一定数いますが、そのほとんどがよく知られた常連プレイヤーです。

 

2022年頃からこの兆候はありました。あくまで憶測ですが、背景にはロビレジェ予選の権利争いがあったのではないかと想像しています。

当時の権利圏内(16位)を狙えるプレイヤーはロビレジェ出場という明確な目的意識を持って日常的にラダーを回し続け、結果的に質、量を兼ね備えた練習になったのだと思います。これで上手くならないはずがなく、権利圏外の人とは一線を画すスキルが培われたのでしょう。

 

さて、この乖離が問題なのかはよくわかりません。別にトップを目指してガチガチにやるだけがバトグラではなく、各々が各々のやり方でゲームを楽しめれば十分だと思います。

ただし、もしトップ層に食い込むことを望むプレイヤーがいるとしたら、コミュニティ大会はこのような乖離を乗り越えるためのモチベーションの一つになるような気がしています。(その大会に比較的上手いプレイヤーが集まっていることが前提ですが)

上手くなりたい、ただ現行制度のロビレジェに出られるほどではないという方がいたら、一つの中間目標になるのではないでしょうか。

 

また、比較的カジュアルにプレイしている人が「大会に出てみたいけど自分はレートが低いからやめとこう…」みたいに考えているとしたら、躊躇する必要はないかと思います。レートが低いからって後ろ指を指す人がいるわけではありませんし、むしろ普段戦わないレート帯の人と勝負できたり知り合いを作れたりで、バトグラを楽しむきっかけになるのではないかと思います。

 

総じて2023年に入ってからロビレジェロスに陥っていたところ、大会が良い転機になったように思います。

まったく個人的な雑記でしたが、大会に関心を持ってくれる人がいたら嬉しいですし、もしそのような人と大会で戦えたらなお嬉しいです。それでは!