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ハースストーンの闘技場・バトルグラウンドを勝ち抜く戦略

科学するマリガン【①闘技場・基本編】

2020-11-14 最近の環境を踏まえて更新

 

闘技場に限らず、ハースストーンというゲームにおいてマリガンは非常に重要ですが、闘技場視点でまとめた記事はあまり読んだことがなかったため書いてみました。


用語
  • Drop:〇ターン目にプレイできるカード。2/2/3などの「標準スタッツ」ミニオン、武器は〇Dropとして優秀。一方、初級エンジニア(2/1/1)やドローソースのような盤面に影響を与えにくいカードや、除去のように適切な標的がいないと使えないカードは仮に〇マナでも〇Dropとは呼ばない。単に数字で2,3と表記することもある。


ハースストーンにおけるマリガンの基本は、「戻して引けるカードと、今持っているカードのどちらが(特に序盤・中盤戦で強いか?」ということ。

2、3、4Dropを順に出していくことは闘技場での理想的な動きの一つであり、基本的にはこれを目指していくことになる。ただし、場合によっては序盤の動きを多少犠牲にしてでも使いたいカードをキープすることもある。

以下、各タイプのカードをキープすべきか、戻すべきかを考える。

(ところどころ確率計算を出しており、根拠は脚注に付けているので興味があれば。*1

1. 1~4Drop

1-2Drop

アルダーの従者ボーンチューワーの喧嘩屋

1、2dropは原則としてキープ。2/2などの弱い2Dropでも、ほぼキープでよい。仮に弱い2Dropを戻したとして、引き直せる率はおおよそ4割(4枚積み)~7割(7枚積み)。昨今7枚も積むデッキは珍しく、引き直しに期待するより弱い動きを保証させる方が良いように見える。

2枚目の2dropを引いた場合、基本的には戻してよい。戻した場合でも3ターン目までに2,3ドロップのどちらかを引ける率は標準的なデッキで8-9割程度ある。*2 3ターン目の2dropという弱い動きを保証するより、強い3ドロップあるいはそれ以降の動きを探しに行った方が良い。

 

3Drop
冷たき影の紡ぎ手

こちらもほぼキープでよい(たとえ2Dropがなくとも)。3Dropを戻すことで2マナを引ける率はおよそ7-9%上がる*3が、3ターン目に動けない確率が2-3割ほど残る。リスクとリターンが釣り合っているとは言いがたい。

→ただし、3Dropの中でも弱いカードは、1,2,3合計で11枚以上あるデッキなら戻しも検討できる。≪ブライグール≫や≪火成のエレメンタル≫なんかは時々戻す。強い3Drop(3/4、4/3、≪スカーレット・クルセイダー≫など)は常時キープ。

先手の場合3Dropは1枚で十分であり、2枚引いたら弱い方を戻す。後手の場合は2枚ともキープがおすすめ(後述)。

 


4drop以上
フェルフィンのナビ

基本的に戻してよい。非常に強い4ドロップの場合、あるいは2,3ドロップが両方ある場合に限りキープ。

戻したカード+4枚のカードを4ターン目までに見ることができ、その中に4ターン目までの動きがある可能性は十分高いから。4Dropは勿論有効な動きだし、妥協手として3Drop、2枚の2Drop、2Drop+ヒロパなどの動きも悪くはなく、その中のどれかはほぼ確実に引ける。そのため、4Dropをキープして4ターン目の動きを確定させるメリットは薄い。

 


武器も〇Dropとして扱える。そのターンに振れない場合もあるが、それを補って余りあるパワーを持っていることが多い。1~3コストの武器は大抵キープ、4コストの武器ですらキープする場合がときどきある(続編で詳しく書く)。

 

アンバーウィングアンダーライトの釣り竿死神の大鎌

nDropとして十分すぎるほど強い武器たち。ちなみに、≪死神の大鎌≫は4dropながら残せるほど強い。

 

2. 除去、強化カード

地雷原権威の祝福

基本的には戻す。適切な標的が場にいるとは限らないため、いつでも出せるミニオンとは使い勝手が違い、持っていても使えずテンポを失うリスクがある。

 

なお、早い相手(ハンター・パラディンなど)に対し全体除去を時々キープすることがある。詳細な基準は続編で説明する。

 

3. 後手の理論


・後手はコインを持っているため若干複雑になる。概して、3-3-4か2-4-4の動きが理想。

(2-2-3-4は3-3-4とか2-4-4に比べて弱い。相手のXマナミニオンと、こちらのX+1マナミニオンを戦闘させて一方的に相手のミニオンを倒すのが理想。3-3-4なら相手の2マナとこちらの3マナを、2-4-4なら相手の3マナとこちらの4マナをぶつけられるが。2-2-3-4は相手が1マナを出さない限りこれができず、その確率は低い。)
・そのため、3は2枚までキープ。2は3が2枚揃っていない限りキープ。

4は2を持っていれば2枚までキープ。強い4であれば2が無くても残すが、そうでない4は戻してしまってよい。4の他に3、2+2、コイン+5などが代わりの動きになり、そのどれかは4ターン目までに9割方確保できるため。

・2-2-3-4が弱いと書いたが、それでも初手に2Drop2枚が来たらキープしてよい。また、2-3-4が揃った場合、すべてキープする。変に戻してもお目当てのカードを引く確率は10%弱しか上がらず、引けずにテンポを失うリスクの方が大きい。
・後手は基本的に劣勢に回りやすい。相手のほうが半歩先に大きいミニオンを展開するため。したがって、全体除去など劣勢に強いカードのキープをより検討しやすくなる。②応用編を参照。(いま書いてます)

 

ということで基本編でした。もちろん他に引けているカード、デッキのカード次第で最適なマリガンは変化するので、慣れてきたら柔軟に考えてみてください。

応用編では「4.ローグ」「5.デーモンハンター(異端)」「6.パワーカード」を予定しています。

 (3/25) 後編書きました。以下のリンクからどうぞ。

 

 

 

ちなみに、タイトルはとつげき東北氏の麻雀本、「科学する麻雀」リスペクトでした。素晴らしき良書。

 

 



 

 (以下、脚注)

*1:基本的にこの表をベースに考えています。「xx枚カードを引いたときに、デッキにxx枚あるn-Dropを引ける確率」です。f:id:sato9kado:20190324143944p:plain

*2:2,3ドロップ計8枚、初手1枚キープなら3ターン目には81.5%、計10枚なら89.1%程度で引ける。

*3:2マナ3枚なら7.4%、6枚なら8.9%の上昇