That's Arena!

ハースストーンの闘技場・バトルグラウンドを勝ち抜く戦略

科学するマリガン【②応用編】

2020-11-14 最近の環境を踏まえて更新

 

マリガンは闘技場でも非常に重要ですが、体系的にまとめた記事はあまり読んだことがなかったため書いてみました。

今回は②応用編です。①基本編をまだ読んでない人は、そちらを先に読んでみてください。



 


用語
  • Drop:〇ターン目にプレイできるカード。2/2/3などの「標準スタッツ」ミニオン、武器は〇Dropとして優秀。一方、初級エンジニア(2/1/1)やドローソースのような盤面に影響を与えにくいカードや、除去のように適切な標的がいないと使えないカードは仮に〇マナでも〇Dropとは呼ばない。単に数字で2,3と表記することもある。

「xx枚カードを引いたときに、デッキにxx枚あるn-Dropを引ける確率」。今回も時々これに言及するため、気になった人はこれを見ながらじっくり考えてみてください。f:id:sato9kado:20190324143944p:plain

 

 

4. ローグ

ローグは他のヒーローと異なる点が2つあり、マリガンを少し工夫することで上手く使えるようになる。

  1. ヒーローパワーが非常に強く、2Dropのように働く→2を探しに行く必要がない。 
  2. コンボカードがある→特に後手の場合、コイン+コンボの動きを想定した立ち回りが必要。

先手

ヒロパ→3-4の動きが理想、さらに1があれば素晴らしい。2を探しに行かなくてよい分、1,3,4のキープ基準は若干緩いものになる。1、3は多少弱くてもキープ。3を持っている場合、そこそこ強い4をキープしてよい。

 

(そこそこ強い4の例)

穴掘りスコーピッドサーカスの融合体

 
後手

複雑。ランキングに載る人の間でもよく意見が割れる。

・ヒロパが2として使えるが、相手が早い場合フェイスが持たないこともあり、3-3-4で動くこともよくある。ほかには2-ヒロパ-3-4、ヒロパ-4-4などの動きも可能。

コイン+コンボカードの利用を考える。2、3ターン目のコイン+≪SI:7諜報員≫はかなり強い(3ターン目だと1マナ余るが、十分強力な動き)。

ãSI 7è«å ±å¡ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

・「原則として1,2は1枚までキープ3は2枚までキープ2か3があれば4はキープしてよく強い4は単独キープも可能。ただし、コンボを考えたコインの使いどころなど、序盤の考え方が複雑になるため、1-4ターン目のプランをしっかりと考え、柔軟に対応することが必要。

 

≪ワンド泥棒≫は1ターン目にはコンボできないが、非常に強力なカードであり、しかも1マナと軽いためどこかしらでコンボできるであろう。残してよい。

ワンド泥棒

 

 

5.デーモンハンター(異端)

デーモンハンター固有のメカニズムである「異端」は、手札の右端か左端にある時に使うと強い効果を発揮する。 

f:id:sato9kado:20200406225423p:plain

ハースストーン公式サイトより)

 

そのため、マリガンではカードの種類だけではなく位置も重要になる。

 

イリダン党のフェルブレード日陰草の非行生徒疫病始祖ドレイク

この順に来た場合、≪イリダン党のフェルブレード≫は左端にあるため異端を使用できる。4dropではあるが、5ダメージ+5/3という破格の能力を持っているためキープに値する。

疫病始祖ドレイクイリダン党のフェルブレード日陰草の非行生徒

この順の場合、左端のカードが邪魔で異端を発動できない。≪フェルブレード≫は戻す。

日陰草の非行生徒イリダン党のフェルブレード疫病始祖ドレイク

 この場合、2ターン目に≪日陰草の非行生徒≫を使えば≪フェルブレード≫は左端に来るので異端を発動できる。キープしてよい。

 

このように、素の状態ではキープしないようなカードでも、異端で強く、さらに左端で使える見込みがあるときはキープできる。

 

6. 非常に強いカード


ごく一部の強いカードであれば、多少序盤の動きを犠牲にしてもキープすることがある。デッキ内のカードパワーにばらつきがある闘技場特有の戦術。

ただし、必ずキープすればよいわけではない。考え方を下に記す。


強いカードの中でも、有利時に強いカード(例:≪権威の祝福≫)より、不利時に強いカード(例:≪憎悪の輪廻≫)のほうがキープしやすい。1枚を抱える分序盤に2,3ドロップを引く確率が下がるため、有利時に強いカードをキープしても使うための盤面が整わないおそれがある。 

権威の祝福憎悪の輪廻


・こちらが先手だと有利時に強いカード後手だと不利時に強いカードをキープしやすくなる。先手は後手に比べて半歩先に大きなミニオンを展開できるので、試合中盤まで優位に立ちやすい。
終盤よりは中盤のカードの方がキープしやすい。終盤のカードを抱えることは、長い間手札-1枚のハンデを背負うことを意味する。
相手ヒーローと自分のデッキを考え、勝ち筋になるようなカードは積極的にキープする。ただし、闘技場のデッキは構築戦のデッキほど極端に早い、遅いの違いがなく、またマリガン時に相手のデッキタイプを判別できないため、構築戦ほど明確に刺さるカードの区別ができず、よほど強いカード以外は戻すことになる。

 

1枚キープすると、キープしない場合に比べて2ターン目までに2ドロップを引ける率は8%前後、3ドロップに関しても同程度下がる(冒頭の確率表参照)。それを補えるパワーカードかを考えることが必要で、こればかりは定量的に考えきれないので経験と勘に頼ることになる。*1既に2,3ドロップがどちらかでも引けている場合、パワーカードをキープする基準は緩くなる。

・パワーカードのキープは、そのカード、使っているデッキ、手番、相手ヒーローに関する理解と判断が求められ、難易度が高い。慣れるまでは4マナ以上は基本的に戻し、ある程度理解が進んできたら試してみるくらいが良い?

具体例 ()内は他の状況と相談

このあたりはランキングに載る人の間でも意見が割れるところだと思うので、参考程度に。

 相手を問わず:≪死神の大鎌≫、≪剣食い男≫、≪万鍵支配者アラバスター≫など(3ドロップがあれば≪昏倒≫)

死神の大鎌剣食い男万鍵支配者アラバスター昏倒
 対早いヒーロー(パラ・ローグ・ハンター):≪火吹き女≫、≪憎悪の輪廻≫など、相手が盤面を取っている場合に非常に強いカード 

後手の場合は、≪非道の指導教員≫をコインと一緒に使うプランも考えられる。(必ずやるほど強くはない)

火吹き女憎悪の輪廻非道の指導教員
 対遅いヒーロー(ウォロ・プリ):≪不良学生≫など、重くて強いカードやこちらが盤面を取っている場合に非常に強いカード

不良学生 

 

補足:キープしないカード

ここに書かなかったカードは原則としてキープしない。

特別強くない5Drop以上、極端に弱い1-3Drop、ドローソースなどが該当。

湖のスレッシャーf:id:sato9kado:20190324211434p:plain魔力なる知性

基本編の繰り返しになるが、除去やバフも原則としてキープしない。適切な標的がいるとは限らず、序盤戦で腐るリスクがある。

 

(以下、やや細かい話)

1ターン目にやることが無ければ、ミニオンを発見、調達するような1コストのカードを残してよい。≪体育学の予習≫≪根源学の予習≫は手札に応じて欲しいマナ帯のミニオンを探せ、しかもそれを1コスト軽減できるのでキープする価値が大いにある。≪初登校の日≫も最高クラスの初手。

体育学の予習根源学の予習初登校の日

 

同様に、ウォリアーやプリーストなど2ターン目のヒロパの意味が薄いヒーローで、先手、なおかつ2Dropが少なく(~3枚程度)引ける見込みが薄ければ≪陣形を組め≫≪思念奪取≫などのドローソースをキープしてよい。盤面に寄与しない動きでも、意味なくヒロパするよりは良い。後手はコイン3→3と動く可能性がそれなりにあるため戻す。

陣形を組め!思念奪取

 

 

 

原則としてはこんなところです。初めの段階では、ここに書いた方針でマリガンするのが良いかと思います。(何でもそうですがガチガチにやりすぎると疲れるので、最初から完璧を目指さず、楽しみながらゆっくり学んでいくことをお勧めします)

ただ、最適なマリガンは①他に引けているカード、②デッキ全体の方向性、③相手ヒーロー、④手番によっても異なります。慣れてきたらこの4つの要素を考えながら、柔軟に対応していきましょう。

ドラフトやプレイングと同じく、マリガンも上位プレイヤーの間で意見が割れるほど奥の深いものになります。毎回のマリガンで残すカード、戻すカードをしっかり考えることは間違いなく上達につながるでしょう。

次は新環境でのマリガン実践編か、プレイングの記事を書いてみたいです。ドラフトの記事は過去に書いたので、それを読んでみてください。プレイングは書くことが多すぎてどこから手を付ければよいかわかりませんが、何かしら書いてみたいと思っています。それでは!

 

(2019-5-3加筆 プレイングの記事を書きました)


 

*1:もし「特定のパワーカードが引けた場合の勝率増分」と「2,3...ドロップが引けた時の勝率増分」が分かれば、それらに適当な確率を掛けて比較することで大まかな判断を下せるのだが、あいにくそのような勝率のデータを得るのは難しいので最後は勘に頼ることになる。ただ、何も情報が無いよりは「1枚戻すことで10%弱2,3ドロップが引きやすくなる」という情報があるだけでも、勘による判断の精度が上がると考えて確率計算を行っている。