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ハースストーンの闘技場・バトルグラウンドを勝ち抜く戦略

闘技場プレイングの考え方 (①そのターン、次のターン、大局観)

 

闘技場のプレイングについて、考えていることをざっくり言葉にしてみたいと思います。

率直に言ってプレイングは「場合による」判断の塊でして、この記事だけですべてを説明しきれるわけではありません。それでも、考えておきたいことの大枠を書いておけば、自分のプレイを反省したり、上手い人の配信を観たりする上での指針を示せるのでは? と思いこの記事を書きました

基本的なことから書いていくので、中上級者は飛ばし飛ばし読んでください。それでは始めます。

 

(目次)

 

原則

そのマナでボードに可能な限り大きな影響を及ぼす(できるだけ強いミニオンを展開する、あるいは相手の強いミニオンを除去する)ことが原則です。

なぜでしょうか。

このゲームは構造的に、有利な側がさらに有利になるようにできています。試合の要となるミニオンは、召喚酔いのため出したターンに動けません。そのため先にミニオンを展開していた側が、都合の良い戦闘相手を選ぶことができ、より強い盤面を築くことが出来ます。

と言われてもわかりにくいと思うので、具体的な例を示します。

こちらの場に2/3/2、4/5/4のミニオンが、相手の場に3/4/3のミニオンがいる盤面を考えてみましょう。

(相手の場)

(自分の場)f:id:sato9kado:20190503014900p:plain

ミニオンの効果はすべて関係ないので、能力値だけ見てください

 

もし今がこちらのターンであれば、2/3/2と3/4/3を相打ちさせることで4/5/4が場に残ります。一方、相手のターンであれば相手は3/4/3をこちらの4/5/4と相打ちさせることができ、その場合場に残るのは2/3/2で、前者の例(4/5/4が場に残る)とは2マナ分の差がついています。

どちらが先にミニオンを展開し、都合の良い戦闘相手を選ぶかで、その後の試合展開が大きく変わることがお分かりいただけたかと思います。できるだけ早く強い動きをすることで、効率の良いトレードができ有利になり、それにより更に効率の良いトレードができるようになり……最終的に勝ちに近づくことができます。(この概念は、有利が雪だるま式に膨れていくことから、海外では”Snowball”と呼ばれていたりします。)

早く、強いミニオンを展開し、戦闘の主導権を握ることを最優先に考えていきたいです。

 

この原則のもと、プレイングの上で考えたいことを説明します。考えることは大きく分けて以下の4点です。

  1. そのターンのこと
  2. 次の相手ターンのこと
  3. その次の自分のターンのこと
  4. 試合全体のこと

下に行くほど抽象的、複雑な判断が求められ難しくなります。まずは目の前の状況を考えます。

 

1.そのターン:良い盤面と良いトレード

可能な限り大きなミニオン、或いは多数のミニオンを展開することが重要です。相手のミニオンを少ないマナで除去することができるのであれば、それも強い動きになります

一般的に、使えるマナコストを全て使い切る動きが強いことが多いです。ただし、あとで述べるように相手の動き、次の自分のターンの動きを考えると、あえてマナを余らせるような動きが最善になることも多々ありますので、慣れてきたら思考停止でマナを使い切るのではなく、じっくり考えてみましょう。

 

・手札より盤面

手札を増やす動きも候補になりますが、このゲームの原則が「盤面で有利な側がさらに有利になる」ということを忘れないでください。手札を増やしているうちに盤面を取られてしまうと、巻き返すことが難しくなります。特に序盤、中盤のうちは手札よりも盤面への影響を最優先に考えましょう。

例:4ターン目、手札に≪チルウィンドのイエティ≫と≪ノームの発明家≫がある場合、盤面への影響が大きい≪イェティ≫を出したいです。

 

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ウォーロックでは、2マナ余った時にヒーローパワーを使ってカードを引くよりも、2マナミニオンを展開するのが原則です。(ただし、相手の全体除去警戒のため展開を抑えてヒーローパワーを使うこともあります。後述)

 

・良いトレード(戦闘の組み合わせ)

できるだけこちらの小さいミニオンで、相手の大きいミニオンと相打ちを取る、あるいは相手のミニオンだけを倒し、こちらのミニオンが生存するようなトレードが望ましいです。こちらのミニオンのライフが1残るのと、共倒れになるのとは大違いです。そのようなトレードができるよう、戦闘相手を考えていきましょう。

そしてもう一つ、非常に重要ながら、見落としやすい要素があります。

 

・リーサル

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 中盤以降は、そのターンで相手のライフを削り切る手段はないか、ということを考える癖をつけましょう。偉そうなことを書いてますが、筆者もときどきリーサルミスをやらかします。

 

2.次の相手のターン:相手の動きの想定

以下の要素を考えています。

 見えている動き:相手ミニオンによるトレード、ヒーローパワー

 見えていない動き:特定カードのケア

・相手のトレード(ミニオン・武器)

 相手の場にミニオンや武器が残る場合、当然次のターンで攻撃を仕掛けてきます。相手が次のターン場のミニオンでどうしてくるかを考え、最も損害が小さくなるように動きを考えるのが良いでしょう。

・ヒーローパワー

 メイジ、ドルイド、ローグはヘルス1のミニオンや聖なる盾をうまく対処してきます。当然ヒーローパワーはターンに1度しか使えないため、聖なる盾のミニオンを体力1のミニオンがいる時に出したりすると、相手はどちらかしか対処できず、もう片方が残ることになります。なお、ドルイド、ローグのヒーローパワーは攻撃を介するため、凍結や挑発で防ぐことができます。

 プリーストが相手の場合、できればヒーローパワーを有効に使わせたくないところです。こちらのターンの後に相手がしてくるトレードをよく考え、可能であれば相手がミニオンを回復させられないようなプレイングを心がけましょう。(できない場面も多いですが)

 

・特定カードのケア

出現率の高いカードに対しては、出される前に対策をする(いわゆる「ケアをする」)ことができると良いです。特に、全体除去に関しては警戒せずに食らってしまうと負けに直結しかねないので、どのクラスにどのような全体除去があるかを覚えると良いでしょう。

ただ、最初から詰込み式に全部覚えるのは大変ですし、何よりあんまり楽しくないので、たまにクラスカード一覧に目を通すくらいにして、あとはプレイを通じて少しずつ覚えていくのが良いと思います。

(例)

・メイジ、ウォーロックは全体除去が豊富なので、警戒することが望ましいです。特に、メイジの≪フレイムストライク≫(7マナ全体4点)、ウォーロックの≪凄まじき焦熱の悪鬼≫(6マナ全体1点)は出現率が高く、終盤は頭に入れておきましょう。

フレイムストライク凄まじき焦熱の悪鬼

 

・ローグやプリーストは≪昏倒≫、≪精神支配≫などの単体除去が非常に強力なので、終盤は大きいミニオン1体よりも小さいミニオン複数体の展開が良いです。大きいミニオンを出さざるを得ない場合でも、除去されて困らないものを先に出すなどの配慮が必要です。

昏倒精神支配

また、新拡張のカードは出現率が高いため、ケアすることが特に重要です。「ダークムーン・フェアの招待状」環境で特に注意したいのは、≪火吹き女≫≪ダンクタンク≫です。

火吹き女ダンクタンク

・また、やや前のカードですが≪鋼拾いのシヴァーラ≫≪憎悪の輪廻≫などは強力な巻き返し手段であり、優勢の時には被害を抑えられるよう警戒しておきましょう。

鋼拾いのシヴァーラ憎悪の輪廻

 

いずれの場合も、必ずしも特定のカードをケアする必要はありません。特定のカードをケアしていると極端に弱い動きになるような場合や、そもそもそのカードの出現率があまり高くない場合は、相手が持っていないことに賭けるのも立派な選択肢です。(特にエピック以上のカード)

闘技場では多種多様なカードが存在するため、実戦ではすべてを警戒できない場面も多いです。主要なカードをケアできるときにケアする、程度の考えになります。

 

(中上級者向け)カードの出現率の把握にはHSReplayが便利です。クラスを指定して表内「デッキへの採用率」と「枚数」を掛けたものが「1デッキ当たりの平均枚数」になります。0.5枚/デッキを超えたあたりから考慮に入れ始め、1枚/デッキ以上のカードは出来ればケアする(ただし無理をしない範囲で)、というのが自分の考える目安です。

 

3.次の自分のターン

・動きはあるか?それは有効か?

 このターンに強い動きができたとしても、その次のターンの動きが弱くなっては意味がありません。慣れてきたら、次のターンにどうするかを合わせて考えて打ち手を決めていきましょう。

 

 確定除去、全体除去、強化などの状況を選ぶカードが上手くはまるなら、惜しまず使うことが大事です。例えば確定除去を大きなミニオンに放てる、あるいは強化呪文を使ってよいトレードができるような場合、その場で使ってしまうのが良いかと思います。次のターンでも状況を選ぶカードを有効に使えるとは限らないからです。手札に次のターンの動きの候補が少ない場合は、特にこの点を意識しましょう。

 

・次のターンのリーサル

攻めている場面で、次の自分のターンにリーサルが取れそうな場合、その準備をしておくのがしばしば良いプレイングになります。

よくあるのはローグのヒーローパワー武器でヒーローを攻撃するかの判断です。相手のライフに余裕がある時に武器でヒーローを攻撃する行為は悪手ですが、次のターン(もしくは更に次のターン)のリーサルを見込める場合は別で、1点でも多く相手のライフを削っておくのが良いです。

こちらが攻めている場合、手札+ヒーローパワー(+盤面のミニオン)で何ダメージ出るかを常に認識しておくと、精度の高い判断ができると思います。「盤面のミニオンが処理されなかった時」「処理された時」の打点をそれぞれ想定しながら判断するとよいでしょう。

 

4.試合全体を見据えた判断

次の自分のターンよりもさらに先を見据えたプレイングについて説明します。「この試合にどのように勝つか?」を考え、その勝ち筋に近づくようなプレイングを毎ターンしていきます。

代表的なのは以下の3つの判断です。どれも抽象度が高く、ゲームそのものや使うデッキに対する理解と大局観が求められます。

・フェイス/トレード

ミニオンでトレードするか、相手のヒーローを攻撃するかの判断です。特に軽いデッキの場合、終盤でもトレードを続けていると試合が長期化し、こちらの手札が切れて負けてしまうことが多々あります。そうなる前にトレードを放棄し、相手のライフを削りにいくことが最善になることが良くあります。

 この判断において、普段考えている判断基準は下の通りです。

  • 相手の残りライフはどの程度で、それを削り切る算段はあるか
  • トレードして試合が長期化した場合、こちらの手札は足りるか(自分、相手の手札枚数、自分のデッキの重さ)
  • 盤面を放置した場合、相手はどのようなトレードをし、どの程度不利になるか?全体除去で一気に巻き返されるリスクはないか?

上記のことを総合的に考えて判断を下します。結構経験と勘が求められるようなことでもあるので、この記事だけでは伝えきれず個別の試合を振り返りながら判断力を養っていくことになると思います。

なお一つの目安として、先述した「次のターンでリーサルが見込める場面」ではかなりフェイスの優先度が高まります。

 

・減速が許されるとき

先程、「できるだけ盤面を強くすることが原則」と書きましたが、

  • 過展開することにリスクがあり
  • 減速しても有利を維持できる可能性が高い

ようなときは、あえてマナを使い切らなかったり、盤面を強くせずに手札を増やすことにマナを費やすことがあります。

よくあるのは全体除去警戒で展開を抑えることです。しかし、警戒した結果全体除去以外の動きをされて負けては意味がありません。警戒するときは、「相手が全体除去を持っておらず、普通にミニオンを展開された時に勝てるか?」を考え、もし負けそうであればケアをせずリスクを取りましょう。

 

・ファティーグを見据えたプレイ

コントロールミラー、特に自分か相手がウォーロックの場合によく起こる判断です。

  • こちらのデッキが少なくなりつつある場合、多少のリスクを取ってでもヒーローを攻撃するなどして、早めに試合を終わらせることが必要です。
  • 逆に相手のデッキが少なく、こちらのデッキ、手札に余裕がある場合、相手のカードが切れるまで粘るという勝ち筋があります。この勝ち筋を狙う場合、あまり大きなリスクを取らずに安全な選択を積み重ねていけば自然に相手が息切れしてくれるでしょう。
  • どちらの場合でも、デッキが少ない場面でのドローカードの使用は将来大きいファティーグダメージを食らうことにつながり、注意が必要です。ただし、手札が切れそうで強い動きができない場合、リスクを負ってでも手札を増やすのが良いでしょう。
  • 場合によっては数ターン後のファティーグダメージをカウントする必要があります。持ち時間をしっかり使うべき場面です。

(この段はかなり抽象的になってしまったので、あとで具体例を加筆してみたい……) 

 

 

ということで、毎ターンのプレイングで考えている内容をまとめると、下のようになります。

  1. 今のターン:最も大きな影響を盤面に及ぼすにはどうすべきか?リーサルはないか?
  2. 相手のターン:相手のミニオン、ヒーローはどう動くか? ケアすべきカードは何か?
  3. 次の自分のターン:次のターンの動きを確保できないか?
  4. 試合全体:どのような勝ち筋を取るか?

 

プレイングは特に上達に時間がかかる領域だと思います。初心者がいきなりこの4つを考えて最善手を打てるようになる、ということはありません。まずは「①今のターン」のことだけ考えてみて、慣れてきたらより先のことを考える習慣をつけていくのが良いと思います。

ここまで書いても、プレイングは場合によるとしか言えないことが多く、文章にしきれないことも多々あります。結局は自分の試合を反省したり、上手い人の配信を観たりして鍛えていくことが必要です。

配信サイトはTwitchが最大手でしょうか(他にニコ生などもあります)最近は日本人の闘技場ランカーによる配信が多く、学ぶには非常によい環境です。

 

自分のプレイを振り返るときや配信を見るときのポイントとして、この記事に書いたようなことが出来たか振り返る/配信を見ている時は上手い人がどう考えているかを考えてみると上達に役立つと思います。

 

(最後に)

たとえ完璧なプレイングをしても、引きが悪かったり、相手のデッキが強かったりすれば当然負けます。受け入れましょう。

平均8勝台のプレイヤーでも勝率は75%程度、言い換えれば4回に1回は負けるのです。ある程度の運負け、デッキパワー負けは割り切り、勝つべき残りの3戦を落とさない心構えとプレイが重要です。