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ハースストーンの闘技場・バトルグラウンドを勝ち抜く戦略

(③メイジ編)ドラフト優先順位

メイジの主要カードについて、先に更新したローグ編パラディン編同様、どのような優先順位でドラフトすればよいかを理由とともに考察していきます。*1

メイジは2018年5月現在、ローグ、パラディンに次いで強いクラスだと考えています。5/8のPatch11.1によりクラス間のバランス調整がされたため、3番手とも言い切れなくなりました。

ドラフトが先の2クラスに比べて難しい印象があり、この記事が参考になればうれしいです。

  

前提

  • ドラフト序盤を想定しています。ドラフト中盤以降は、他のカードとのシナジーやデッキバランスにより、取るべきカードが変わることにご注意ください。
  • 2018年5月時点の優先順位です。2018年8月の新拡張リリース以降は、この順位が変動している可能性があります。

海外のReddit掲示板の投稿によると、全カードは強さに応じて7段階(強い順にLevel6~Level0)にグループ分けされ、ピック画面には同じグループのカード3枚が並ぶようです。どのグループにどのカードが属しているかは、Tarrot469氏というプレイヤーが独自に調査、公開している情報をご覧ください(英語)*2

 

 

この記事シリーズでは、7つのグループのうち上位2段階(Level6,Level5)のカードの優先順位を考察するとともに、残りのLevelで顕著に強い(≒取るべき)カードをピックアップしていきます。

 

この記事ではメイジの優先順位を示します。ローグパラディンはそれぞれのリンクからご覧ください。

  

優先順位

Level6

  • ≪メテオ≫、≪始祖ドレイク≫
  • ≪フレイムストライク≫、≪ファイアーボール≫、≪動物変身≫
  • ≪ボーンメア≫、≪涜れしウォーゲン≫、≪コバルト・スケイルベイン≫

※別の行にあるカードには、それなりの強さの差があります(上に行くほど強い)。同じ行のカードの強さは近いですが、左側にあるほど強いと考えています。

概説

・≪メテオ≫、≪始祖ドレイク≫、その下の≪フレイムストライク≫と全体除去が続きます。これらの全体除去は、劣勢を覆す力を持ちながら、優勢時でも十分に活躍できるパフォーマンスの高いカードです。メイジはパラディン、ローグと比べ序盤のテンポの良い*3動きが少ないので、劣勢に回ることがある程度多くなるクラスです。そのため、劣勢を返す手段を持っておくことは勝ち数を伸ばすために必要です。*4(ただ、序盤に強いデッキを組めている場合や、すでに多くの全体除去が集まっている場合は優先度が下がります。)

・次に、4マナ単体除去2枚が続きます。≪ファイアーボール≫は除去として優秀な性能を持ちながら、相手ヒーローにもダメージを与える選択肢があるのが強く、≪動物変身≫より優先しています。今の環境に多いパラディン、ローグは武器を多用するため、≪ファイアーボール≫で止めを刺せる場面もそれなりに見られます。また、プリースト、ウォーロックとの試合を長期化する前に終わらせられるのも良いです。

・≪ボーンメア≫も強いカードですが、メイジだと8ターン目に自分の場にミニオンがいないことも頻繁にあり、やや確実性に欠けます。≪コバルト・スケイルベイン≫も同様です。≪涜れしウォーゲン≫は使ったことがないので暫定評価ですが、少なくとも≪動物変身≫よりは下だと思います。

Level5

  • ≪石肌のバジリスク≫、≪ウォーター・エレメンタル≫、≪ファイアプルーム・フェニックス≫
  • ヒルドニル・フロストライダール≫、≪怒れるエティン≫、≪魔法学者≫
  • レイラインの操り手≫、≪フロストボルト≫、≪パイロブラスト≫、≪ストーンヒルの守護者≫
  • ≪キリン・トアのメイジ≫、≪始原の秘紋≫、≪ブリザード≫、≪マナ・ワーム≫
 概説

・秘策、エレメンタル、デッキ外ドローなどのシナジーカードが多数含まれており、これらのシナジーの存在がメイジのドラフトを難しくしています。私はエレメンタルシナジーを高めに、秘策シナジーを低めに評価しており、優先順位にもそれが反映されています。(理由は後述)

・≪石肌のバジリスク≫はどのヒーローでも強いのですが、メイジであれば①ヒーローパワーのおかげでヘルス1とのトレードを防げる、②パラディン、ローグほど短期決戦を狙わない(ことが多い)ので、相手ヒーローへの打点の小ささが気になりにくい、③全体除去の存在から、小型の展開を牽制できるといった理由で評価が上がり、優先して取ります。

・≪ウォーター・エレメンタル≫はミニオン同士の戦闘でも優秀ですし、武器を多用するローグ・パラディン・ウォリアーには1枚で勝利条件になることもあります。≪ファイアプルーム・フェニックス≫は堅実に仕事ができるカードです。そしてこれら2枚はエレメンタル種族を備えていることから評価が上がります。

・≪ヒルドニル・フロストライダール≫、≪怒れるエティン≫は単体で優秀な中立ミニオンです。これより下のカードはそれほど強くない、または他のカードとの組み合わせで真価を発揮するものが多く、それらよりはこの2枚を優先したいです。

・秘策シナジーをあまり重視していない、と書きましたが、秘策がデッキに入っているだけで効果が発動する≪魔法学者≫は成功率が非常に高いことを評価し、ドラフト序盤はそれなりの優先順位で取っています。

・≪レイラインの操り手≫はスタン落ち以前と比べ効果が発動しにくいですが、4/4/5エレメンタルだけでもそこそこ強いです。

・≪パイロブラスト≫は速攻デッキが組めれば強力な呪文ですが、そうでないデッキではお荷物にもなりかねず、デッキがどのような方向に進むのか不透明なドラフト序盤では取るのが難しいです。*5もちろん、速攻型のデッキが組めつつあるときは有力な選択肢となります。

・≪始原の秘紋≫は登場当初の「大魔境ウンゴロ」環境では強かったのですが、その後使いにくい呪文が一気に増えた割に、強い呪文がさほど増えなかったため、今はこの程度の評価に落ちてしまいました。各種tierリストの評価は登場当初のカードパワーを引きずっているのか、過大なものに見えます。

・≪ブリザード≫は後に≪フレイムストライク≫などが控えている時、あるいはヒーローへのダメージを競い合う展開だと強いのですが、いかんせん状況を選びすぎるかな、という印象で、汎用性の高い上記のカードよりは劣ると考えています。

・≪マナ・ワーム≫は軽い呪文が多く取れれば優秀なのですが、自分の優先順位では≪始原の秘紋≫も≪フロストボルト≫も、Level4の≪フレイム・ガイザー≫もあまり取らないのでさほど評価していません。

 

Level4以下で特に強いカード

Level4 ≪スチーム・サージャー≫、≪ファイアフライ≫、≪タール・クリーパー≫、Level1≪カリモスの下僕≫

メイジはエレメンタルシナジーが狙い目で、その成功率を高められるカードの評価が上がります。中でも単体で強力な≪ファイアフライ≫、≪タール・クリーパー≫や、自身がエレメンタルであり、効果成功時にさらなるエレメンタルを持ってくる≪スチーム・サージャー≫、≪カリモスの下僕≫がおすすめです。

Level1≪ブードゥー人形

メイジの場合、ヒーローパワーと合わせて5マナで相手のミニオンを破壊できるため、Level1にしてはお買い得なカードです。

 (補足)シナジーについて

 シナジーはドラフトで出てくるカードに応じて柔軟に考慮すべき内容で、一概には言えませんが、原則として私はエレメンタルシナジーを重視する一方で、秘策シナジーをさほど重視していません。理由は2つあります。

①カードの質

エレメンタルには先述の≪ウォーター・エレメンタル≫≪ファイアプルーム・フェニックス≫(Level5)や、≪タール・クリーパー≫、≪ファイアフライ≫(Level4)など、Levelの中でも優秀なカードが多いため、シナジーが決まらなくても十分強力なデッキを作ることができますし、シナジーが決まれば申し分ない強さを発揮します。

一方の秘策はどのカードもいまいちカードパワーが低く、シナジーが決まらないと弱いデッキになってしまいがちです。≪爆発のルーン≫がLevel3,≪鏡の住民≫がLevel2,≪スペルベンダー≫と≪呪文相殺≫がLevel1に属していますが、これらの秘策は同Levelの他のカードよりも劣っている傾向にあります。他のシナジーカードが取れていない状態でこれらの秘策を取りに行くことは、デッキパワーを下げかねません。

②カードの種類数

2018年5月時点で、メイジ、中立カード合わせてエレメンタルは29種、秘策は8種あります*6。数が多いほうがデッキに集まりやすく、シナジーの成功率が高くなります。

これらの点から、エレメンタルシナジーに関しては「単体で優秀なカードを取り続けていき、エレメンタルが集まったらエレメンタルデッキに向かう」というドラフト戦略をとりやすく、高く評価しています。

一方、はじめから秘策シナジーを当てにしたドラフトはややギャンブル性が高いと考えられます。ただ、秘策がデッキに入っていれば確実に発動する≪魔法学者≫は強力であり、既に≪魔法学者≫が取れている時に秘策を取ること(もしくはその逆)は時々あります。成功率の低い≪キリン・トアのメイジ≫だと、それほど積極的にシナジーを狙いに行くことはありません。*7

 

終わりに

 メイジはプレイスタイルの選択肢が多いクラスです。取るカードによって速攻型も持久型もこなせますし、エレメンタル、秘策、デッキ外ドローなど考えるべきシナジーも多様です。

私はどちらかといえば「全体除去で劣勢を覆し、エレメンタルシナジー等でリソース勝ちする」スタイルですが*8、「≪パイロブラスト≫、≪ファイアーボール≫で押し切る」「≪魔法学者≫、≪キリン・トアのメイジ≫を重視し秘策シナジーを狙う」プレイスタイルも考えられます。様々な戦い方ができる点が、メイジの難しいところであり楽しいところです。

他のプレイヤーの「自分ならこの順位で評価する」というツイートやブログの類は大変読んでみたいので、増えてほしいなとささやかに願っています。

 

ご意見、ご質問はTwitterまで。

次はウォリアー編か、カード評価の原則をまとめた「総論編」を書こうと思います。

 

 

*1:概ね各所が出しているTierリストが近いのですが、アジアサーバーの環境や自分の感覚を踏まえた優先順位と微妙に差があり、自分の考える優先順位を公開したいと思います。

*2:あくまで非公式の情報なので、誤りの可能性があります。それにしても個人でこのような表を作るとは、素晴らしい情熱とサービス精神の持ち主ですね。

*3:マナコストに対し、盤面に与える影響が大きいことを指します。パラディンでいえば≪トゥルーシルバー・チャンピオン≫、≪アルダーの平和の番人≫、ローグでいえば≪死角からの一刺し≫、≪SI:7諜報員≫がこれに該当します。

*4:軽量ミニオンを増やし、序盤を有利に進める、というアプローチもありますが、今の環境だと強い2マナを集めることが難しいので、全体除去優先のプランが本線かと思っています。

*5:今のピック方式では「同じ強さのカード」3枚が並ぶこともあり、速攻寄りのカードを取り続けることは昔より簡単になりました。しかし、それでもなお並ぶカードの強さに差があり、長期戦向きのカードを取ることを強いられる場合があります。≪フレイムストライク≫と≪ボーンメア≫や、≪メテオ≫と≪ファイアーボール≫が並んだ時に、後者を取る気にはなりがたい、というのが自分の考えです。

*6:エレメンタルには≪フレイム・ガイザー≫を含みます。中には出てきにくいレジェンドカードも含まれますが、それを加味してもエレメンタルのほうが取りやすいと言えます。

*7:完全に余談ですが、ハンターの秘策は相応のLevelに設定される一方で、≪イーグルホーン・ボウ≫や≪エメラルドの小呪文石≫ともLevel6にあるようです。Level6は他に強力なカードが多いので、秘策がすでに複数枚取れていないとこれらの秘策シナジーは取りづらそうです。

*8:もちろん傾向に過ぎず、ドラフト次第でアグレッシブなスタイルを取ることもあります